スピリッツとは
日本の酒税法で定めるスピリッツは複雑で、蒸溜酒の中でウイスキー、ブランデー、焼酎や原料用アルコールを除いたものとなります。例えば、連続式蒸溜されたものでアルコール分が36度以上45度以下のものや、ウイスキーやブランデーと同じ原料でも溜出時のアルコール分が95度以上のものはスピリッツとなります。また、蒸溜の際発生するアルコールに他の成分を浸出させたものや白樺の炭等でこしたものもスピリッツとなります。いずれもエキス分は2度未満とされています。代表的なものにジン、ウオッカ、ラムなどがあります。
ジンとは
ジンは、穀類を原料とし麦芽や酵素剤を利用して糖化、発酵、蒸溜して得られたスピリッツにジュニパーベリーなどの草根木皮を浸して、再度蒸溜した無色透明の酒をいいます。
ジンは、オランダのライデン大学医学部のフランシスクス・シルビウス教授が1660年に利尿、健胃、解熱作用のあるジュニパーベリー(杜松の実)をアルコールに漬けて蒸溜し、利尿・解熱薬として製造しました。教授はこの薬酒にフランス語でジュニパーベリーを意味する「ジュニエーブル」という名をつけました。これがオランダ国内で流行した際にジュネーブと混同されて「ジュネバ」となり、イギリスに渡った後にさらに短くなり「ジン」と呼ばれるようになったといわれています。
ウオッカとは
トウモロコシ、小麦、大麦などの穀類、ジャガイモなどのイモ類を原料として糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを白樺炭で濾過した蒸溜酒をいいます。スピリッツの中でも最もクセのない風味を有し、まろやかな爽快感を特徴としています。
ウオッカの起源は定かではありませんが、12世紀ごろにはロシア人は蜂蜜の酒を飲んでいたといわれています。15世紀に蒸溜技術が伝わると、ライ麦や蜂蜜の酒を蒸溜したものがつくられ始めました。この蒸溜酒はロシア語で生命の水という意味の「ジーズナヤ・ヴァダー」といい、このヴァダー(Voda)の部分が愛称形の「ウオッカ(Vodka)」という名称に変わったといわれています。
ラムとは
ラムはサトウキビの搾り汁を煮つめて、砂糖を結晶させたあとの糖蜜を原料とし、発酵、蒸溜、熟成の工程を経てつくられるスピリッツです。
ラムの語源にはいくつかの説がありますが、ラムのことが出てくる最も古い文献に「1651年にスピリッツが生まれた。それを西インド諸島の土着民たちは、ラムバリオン(Rumbullion)といっているが、これは興奮とか騒動とかいう意味である」と記述されており、このラムバリオンを語源とする説が有力なようです。